最適速度模型 (Optimal Velocity Model)

English/Japanese

最適速度模型について

Optimal Velocity (OV) 模型は、Bandoらによって提案された交通流を表すモデルである[1,2]。 具体的には以下のような連立微差分方程式系として表される。

dxi/dt = vi
dvi/dt = a [V(xi+1-xi)-vi]
xi、viが、i番目の車の位置及び速度をあらわす。 aは感応度(Sensitivity)と呼ばれ、 ドライバーの反射神経にあたるようなパラメータである。 このモデルは密度と感応度によってスムーズに車が流れる相(流動相)から 渋滞が起きる相(渋滞相)へと相転移を起こすことがわかっている。

 Vは車間距離によって決まる最適速度をあらわし、通常は tanh型の関数が用いられる。このシミュレータではVとして

V(b) = tanh(b-2) + tanh(2)
を用いている。これは図示するとこんな関数になる。

x軸が車間距離、y軸が最適速度。要するに車間距離が詰まっていたら 速度を落とし、車間距離があいていたら速度を上げるが、 無制限に早くなるわけではなく、車間距離がある程度以上なら 最高速度におちつくような性質を表現している。

どんな模型なのか

 最適速度模型とは、車の以下の性質をモデル化したものだ。

渋滞の起き方

 この模型では、最適速度関数を決めてしまえば、パラメータは 車の密度(ρ = L/N)と感応度 a の二つとなる。 線形安定性解析で得られた相図は以下の通り。

条件 a < 2 V'(L/N)を満たすと一様流が不安定になる。

 方程式を見ると分かるように、もし初期条件で、すべての車が等間隔(=L/N)で ならんでおり、その間隔で決まる速度(v = V(L/N))で走っていれば、その流れは ずっと維持される(加速度 dvi/dt がすべてゼロになるから)。 しかし、密度と感応度によってはその流れは不安定となり、ちょっとでも 乱れがあるとその乱れは増幅し、最終的に渋滞となる。

ソースファイルと使い方

 OV模型を4次のRunge-Kutta法で数値積分するサンプル。 周期境界条件で、デフォルト設定で車の数は10。系の大きさはL=20。 a=1とした。これは不安定領域なので、最初に摂動を与えておくと渋滞になる。

ソースファイル (HTML)
ov.tar.gz (1.9KB)
上でうまくダウンロードできない場合はこちら

 アーカイブには makefile と ov.ccの二つのファイルが含まれている。 適当に展開してmakeすれば、通常は動くはず。

% tar xvzf ov.tar.gz
% make
% ./ov > result.dat
実行すると、時空図 (spatiotemporal diagram)を吐くので、gnuplotなどで 表示すると、渋滞形成を見ることができる。
% gnuplot
gnuplot> p "result.dat" 0 0

結果

 Java アプレットはこちら

gnuplotの表示結果は次の通り。

この図は、x軸が座標、y軸が時間、点が各時刻での車の位置を表している。 L=20でN=10なので、最初は車はほぼ間隔2一様にならび、右向きに進む。 しかし、最初に与えた摂動のため、徐々に一様流は不安定化し、 最終的には渋滞が出来る。 この図では傾きが速度の逆数を表すので(通常の逆で横軸が空間、縦軸が時間だから)、 傾きが大きいところが速度の遅いところ、すなわち渋滞を表している。

考察のようなもの

 渋滞というと、事故やトンネルといった外部要因にその原因を 求めがちであるが、実際には「相転移現象」もしくは 「非線形方程式のパターン形成」として 理解できるところが面白いところ。このように書くと難しそうに見えるが、 要するに「渋滞は、別に外部要因がなくても、ある程度の密度があれば 勝手に起きる」ということである。それが数値的に(もちろん理論的にも)分かるところが このモデルの面白いところであろう。

参考文献

OV模型に関しては[1,2]を参照。なお、このシミュレータは基本的に[3]を参照した。
  1. M. Bando, K. Hasebe, A. Nakayama, A. Shibata, and Y. Sugiyama, Jpn. J. Ind. Appl. Math. 11, 203 (1994).
  2. M. Bando, K. Hasebe, A. Nakayama, A. Shibata, and Y. Sugiyama, Phys. Rev. E 51, 1035 (1995).
  3. T. S. Komatsu, S. Sasa, Phys. Rev. E 52 5574 (1995).
また、交通流のシミュレーションのシンポジウムも開かれている。 詳しくは交通流数理研究会へ。
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